Miss.PEACH誘拐事件 〜発見篇〜


 ――その報告が少女Aの耳に入ったのは、四時間目の終わる五分前だった。


「いたよ! ミス・ピーチ!」
 息せき切って食堂に駆け込んできた少女Eの言葉を聞いた途端、少女Aの顔がぱっと明るくなった。
「どこ!? どこにミス・ピーチがいるですって!?」
 さっきの涙はどこへやら。少女Aは、少女Eに猛然と突っかかっていった。
「げっ……下駄箱の……隙間に……!」
 少女Aに胸倉をつかまれながら、少女Eはあえぐように言った。
「下駄箱ね!」
 少女Aは、少女Eを床にぽいっと捨てると、わき目もふらずに飛び出していった。
 残された少女Eは、しばらく起き上がることができなかった。

                                                                          
 かくして、ミス・ピーチと少女Aは再会する。  



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